サツキとメイの母親は死んでいる?
となりのトトロという作品のなかで、なぜサツキとメイが死ななくてはならなかったのか?という大きな疑問があります。
実は、そのヒントが作品の冒頭に隠されているのです。
作品の冒頭で、オート三輪に乗って引越してきた草壁一家が郵便配達人を追い越して橋を渡っているシーンがありますが、その時に角から一台のバスがやってきます。
このバスとすれ違った時が問題なのですが、このバスには「八国山」と書いてあります。サツキとメイのお母さんが入院している病院があるところが「七国山」です。そこで、このバスは七国山から八国山へ向かって走ってきたバスということが解ります。
そして、このバスに乗っているのは見えるところ3名です。運転手の脇には、まるで幽霊バスにでも乗っているような蒼い顔をした女性がいます。実はこれは、サツキとメイの「お母さん」です。
つまり、お母さんはすでに死んでいるのです。
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これは読者(観客)をはじめ、作中に登場している草壁家の誰ひとりも気付いていないのです。
しかし、作者であり監督の宮崎駿氏だけは、そのことをキッチリと押さえたうえで物語を進めていることに注目しなければなりません。
つまり、サツキとメイがお母さんに逢うためには、この世で死ぬことしか方法がないわけで、メイが川で死んでしまったこと、それを追ってサツキも自らあの世へ旅立ったことは、実は母親と会うために必要なことだったのではないかと考えられるのです。